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夜勤や早番・遅番が混ざるシフトのなかで、介護福祉士国家試験の勉強時間をまとまって確保するのは簡単ではありません。予定していた勉強日が急な出勤で埋まる週が続くと、全科目を一度に仕上げる前提の計画は途中で崩れてしまいます。
第38回介護福祉士国家試験から、筆記試験にパート合格の仕組みが取り入れられました。総得点で合格に届かなかった場合でも、基準を満たしたパートについては、その結果を次回以降の受験へ持ち越せる制度です(厚生労働省「介護福祉士国家試験パート合格の導入」)。働きながら受験する人にとっては、やり直しの範囲を狭められる仕組みです。
ただし、これは「初回から受けるパートを自分で選べる制度」ではありません。順序を取り違えたまま計画を立てると、実際の受験とかみ合わなくなります。初回受験の扱い、パートごとの判定、免除の有効期間と手続き、毎年の受験案内で確認すべきことを順に見ていきます。
パート合格制度で変わったこと、変わらないこと
最初に押さえておきたいのは、パート合格が試験そのものの合格ではないという点です。筆記試験の全科目はA・B・Cの3つのパート(科目群)に分けられ、パートごとに基準を満たしているかが判定されます。合格していないパートが残っている間は、介護福祉士国家試験の最終的な合格にはなりません。
変わったのは、一度の受験で総得点が基準に届かなかったときの扱いです。以前は次の年に改めて全科目を受け直す前提でしたが、基準を満たしたパートがあれば、その結果を次の受験に持ち越せるようになりました。次に向き合う範囲を絞り込めます。
一方、初回受験で問われる範囲は変わりません。初回は全パートが受験の対象です。最初の年から特定のパートだけを勉強すればよい、という進め方にはなりません。制度の効果が出るのは、一度受験して結果が出たあとだと考えておくと、計画を立てやすくなります。
判定は「総得点」が先、その次に「パート別」
合否の判定には順番があります。初回受験者は全パートを受験し、まず全パートの総得点で合否が判定されます。ここで基準を満たしていれば、パート別の判定を気にする必要はありません。
総得点で合格に届かなかった場合に、各パートの得点による判定へ進みます。パート別の基準を満たし、さらにそのパートを構成する科目群すべてで得点があれば、そのパートはパート合格として扱われます。科目群のどれかが0点だと、そのパートの合格にはなりません。苦手な分野をまるごと捨てる形の学習は、結果的に持ち越せるものを減らします。
この順序は、日々の勉強の配分にも関わります。総得点の判定が先にある以上、初回受験に向けては全体をならしておくほうが有利です。得意なパートで得点を伸ばしつつ、苦手なパートでも空白をつくらない。この二つを同時に狙うのが、初回の現実的な目標です。
合格したパートの免除は翌年・翌々年まで
パート合格の効果は、受験免除という形で表れます。合格したパートについては、その翌年と翌々年の試験で受験を免除できます。裏を返せば、有効期間は無期限ではありません。何年かけても少しずつ積み上げられる仕組みではない、という点は先に理解しておく必要があります。
免除を使う場合は、その年の受験案内に沿って申請します。申請の方法、期限、必要な書類は案内で示されるため、前年の記憶や他の受験者から聞いた手順ではなく、その年の案内で確認することが前提になります。試験の施行に関する案内は厚生労働省から公表されます(厚生労働省「第38回介護福祉士国家試験の施行」)。
また、免除は必ず使わなければならないものではありません。再受験のときは、不合格だったパートのみを受験することも、合格済みのパートを含めて全パートを受験することも選べます。どちらを選ぶかで、必要な学習量も当日の負担も変わります。
免除を使うか、全パートを受け直すか
免除を使えば、当日向き合う範囲は狭くなります。勤務の都合で学習時間が読みにくい人や、前回の得点が基準の近くではなく安定していた人にとっては、負担を減らせる選択です。
合格済みのパートを含めて受け直す場合は、全パートを受験する選択もできます。前回の得点状況と学習時間を踏まえて、どちらの方法にするか検討しましょう。
どちらが有利かは一律には決まりません。合格パートの有効期間のうちに何回受験できるのかを数え、そのうえで判断してください。
試験回ごとに「何を残すか」を書いておく
有効期間は「あと二年」と頭の中で覚えるだけでなく、試験回とパート名を書いて管理すると混乱しにくくなります。例えば、結果通知を見ながら「次回はBとCを受験」「その次の回までAは免除の対象」と、自分の状況を一枚にまとめます。次の受験案内が出たら、そのメモと照らし合わせて申請内容を確認します。
このメモには、得点だけでなく、受験当日に困ったことも残しておきます。時間配分が崩れたのか、同じ二択で迷ったのか、勤務後で集中しにくかったのか。次の学習計画は、「不合格だったパート」という大きなまとまりだけでなく、こうした具体的なつまずきから組み直せます。
パート合格制度に関わる手続きは、その年の受験案内に沿って進めます。次の項目は、受験の申し込み前に確認しておくと迷いにくくなります。
| 確認する項目 | 確認しておきたい理由 |
|---|---|
| パートの区分と対象になる科目 | どの科目がどのパートに含まれるかで、学習の割り振りが変わるため |
| 免除を申請する方法と期限 | 申請の手続きを踏まなければ、免除は適用されないため |
| 必要な書類と受付の期間 | 受付期間を過ぎると、その回では申請できなくなるため |
| 受験手数料と支払いの方法 | 複数年にわたる場合、受験のたびに費用が必要になるため |
| 合格基準と結果の見方 | 総得点の判定とパート別の判定を分けて読む必要があるため |
合格基準や試験結果の内容は、試験ごとの合格発表で公表されます(厚生労働省「第38回介護福祉士国家試験の合格発表」)。基準点が毎回同じとは限らないため、過去に示された数値をそのまま自分の目標点に固定するのは避けたほうが安全です。合格率の動きが気になる場合は、介護福祉士試験の合格率の推移を整理した記事もありますが、過去の傾向として読む範囲にとどめてください。
シフト勤務のなかで学習を組み立てる
勤務日と休日で、やることを分ける
勤務日に長時間の学習を前提にすると、できなかった日の立て直しが難しくなります。勤務日は問題演習と復習を小さく分け、10分から20分で区切りがつく形にしておくと、疲れている日でも手をつけられます。夜勤の前は新しい範囲へ広げず、前に間違えた問題の確認だけに充てるなど、体調に合わせて中身を変える方法もあります。
休日には、時間を計って複数科目をまとめて解く時間をつくります。試験は決められた時間内に解き切る必要があるため、1問にかけられる時間の感覚をつかんでおくと、当日の進め方に迷いにくくなります。
記録の取り方を先に決めておく
過去問を解いたら、正誤だけでなく、なぜ間違えたのかを分けて記録します。知識が足りなかったのか、問題文の条件を読み落としたのか、時間が足りずに選びきれなかったのか。原因が違えば、次にやるべきことも変わります。
記録は科目群ごとにまとめておくと、結果通知が届いたあとの計画づくりにそのまま使えます。ノートでも携帯端末のメモでもかまいません。あとから見返せる形にしておいてください。
複数年受験と確認・学習の進め方
パート合格制度を使う場合、受験が複数年にまたがる可能性があります。1年あたりの学習量は減らせますが、そのぶん先に考えておきたいことがあります。
- 受験のたびに手数料が必要になるため、費用はその年の受験案内で確認しておく
- 合格パートの有効期間があるため、期間内に受けられる試験回を先に数えておく
- 期間が空くと、合格済みのパートで身につけた知識も薄れやすい
- 職場に資格取得の支援制度がある場合は、対象条件と申請の時期を早めに確認する
試験そのものの難しさが気になる場合は、介護福祉士試験が難化しているといわれる背景をまとめた記事も判断の材料になります。ただし、過去の傾向がそのまま次回に当てはまるとは限らないため、目安として扱ってください。
資格の取得が働き方や収入にどう関わるのかを整理しておくと、複数年の受験を続ける理由が自分のなかではっきりします。初任者研修と実務者研修の違いと収入への影響を整理した記事では、資格ごとの位置づけを扱っています。
資格取得後の職場探しは、サービスの役割を分けて考える
試験に合格することと、希望する条件の職場へ移ることは別の作業です。資格を取っただけで給与や役割が自動的に変わるわけではありません。今の職場で資格手当や担当業務がどう変わるのかを確認し、転職も考えるなら、求人ごとの応募条件を見ます。
求人サービスは、名前よりも探し方の違いで選ぶと迷いません。働きたい運営会社の求人を直接見る方法と、担当者へ相談しながら複数の条件を探す方法があります。どちらが優れているという話ではなく、今どこまで希望が固まっているかで使い分けます。
| 探し方 | 向いている状況 | 先に確かめること |
|---|---|---|
| 運営会社の採用サイトで直接探す | 働きたい法人や施設の候補が決まっている | 勤務地、施設種別、職種、雇用形態を求人ごとに確認する。他法人の求人は同じ画面では比べられない |
| 介護職向けの求人・就職支援へ相談する | ブランクや経験、勤務条件を話しながら候補を探したい | 対応地域、希望職種の求人、資格取得支援の対象条件を登録前に確認する |
申し込む前に、自分の条件を短く書く
求人を見る前に、希望する勤務地、勤務帯、雇用形態、保有資格、避けたい働き方をメモします。条件が固まっているなら、運営会社の採用サイトで募集要項を直接確認する方法が合います。施設や職種を決めきれないなら、対応地域と相談方法を確認したうえで、介護職向けの求人・就職支援へ相談するほうが進めやすいでしょう。
求人に「資格取得支援」や「資格手当」と書かれていても、対象資格、雇用形態、申請時期は求人や職場によって異なります。パート合格の段階で対象になるのか、国家試験の最終合格後に対象になるのかも、応募先へ確認が必要です。サービスへ登録したことや資格を取得したことだけで、採用や待遇が約束されるわけではありません。
今すぐ転職しないなら、無理に登録する必要はありません。今の職場で支援制度と手当の条件を聞き、結果通知と受験案内を整理することを優先します。職場を変える選択が現実になった時点で、直接応募と相談型のどちらが自分に合うかを決めれば十分です。
結果通知が届いたあとにやること
結果通知が届いたら、まず総得点による判定と、パートごとの判定を分けて確認します。総得点で不合格であっても、パート合格が成立しているかどうかで次の進め方が変わるためです。
合格したパートがあれば、その有効期間を書き出します。翌年と翌々年のどの試験まで使えるのかを、具体的な試験回として書いておくと、後から迷わずに済みます。
そのうえで、不合格だったパートに学習時間を寄せます。記録しておいた過去問の結果を見返し、知識不足で落とした問題から手をつけると、残り時間の使い道を決めやすくなります。
シフト勤務のなかでも回せる手順にまとめます。
- その年の受験案内を入手し、パートの区分、免除の申請方法、受付期間、受験手数料を確認する。
- 初回受験までは全パートを対象に学習し、どの科目群でも0点をつくらないことを最低ラインに置く。
- 過去問を一度通して解き、科目群ごとに正誤と、間違えた原因を記録する。
- 勤務日は短い復習、休日は時間を計った演習と、内容を分けて続ける。
- 結果通知が届いたら、総得点の判定とパートごとの判定を分けて読む。
- 合格したパートがあれば有効期間を書き出し、次に受ける試験回を決める。
- 免除を使うか、全パートを受け直すかを、残りの学習時間と前回の得点の状況から選ぶ。
- 方針が決まったら、次の受験案内が公表された時点で申請の手続きを進める。
学習の配分をもう少し具体的に決めたい場合は、介護福祉士試験に向けた学習計画の立て方をまとめた記事もあわせて確認してください。古い案内を使い回さず、申込みのたびに最新版と自分の結果通知を並べて確認します。制度を確認したら、次は「勤務日に何をやるか」まで決める。そこまで落とし込めば、シフトが変わった週でも計画を組み直せます。
参照した公式資料